見る前に、選んでしまう癖がある。動画配信の一覧をスクロールしながら、見る前に何本も飛ばす。展覧会のチラシを見ても、写真映えしそうな一角だけを目当てにしてしまう。選ぶことに慣れすぎて、選ばずに出会うということを、いつからか忘れていた気がする。
国立工芸館の「工芸トークオンライン」というプログラムを知って、その忘れていた感覚を思い出した。
1点をじっくりとご覧いただきます。作品は当日お知らせします。そのときどきの出会いをお楽しみください!
——国立工芸館「工芸トークオンライン」よくあるご質問より(https://www.momat.go.jp/craft-museum/events/20260908)参加者が作品を選べない、というのがこのプログラムの芯だ。今月のテーマは「いのちかがやく」。所蔵作品の中から1点だけが当日知らされ、高精細画像を見ながら40〜50分、参加者どうしで対話しながら鑑賞を深めるのだという。選ぶ手間がない代わりに、その1点と正面から向き合う時間が生まれる。私たちはいつも「良さそうなもの」を先に選んでしまうけれど、選ばれた側からやってくるものにも、ちゃんと出会う価値があるのだと思わせてくれる。
来月は何を観るか、何を読むか。自分で選ぶ前に、誰かに委ねてみる余地を、少しだけ暮らしに残しておきたい。
日時:2026年9月8日(火)14:00/9日(水)11:00/15日(火)11:00/16日(水)14:00(各回40〜50分)/方法:Zoom/参加費:無料/定員:各回6名程度/申込:Peatixより(国立工芸館公式サイト参照)。